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2002年10月22日の軍人の声明

出典: Suzutayu's「べネズエラの政治」

Pronunciamiento militar

10月22日、チャベス政府に「合法的不服従」を呼びかけた14人の軍人の声明の訳。 訳文が稚拙だが、たぶん原文もあまり巧みなものではない。 [ ]は訳者が補なった語。訳者が知っている事実については必要に応じて訳注をつけた。


 非道なジャグノ橋事件の未解決 (*1) に示されるような、人間性に対する犯罪を犯した政府に人民は服従することができないこと。

 最悪の腐敗を解き放ってきたこと。腐敗について、FIME、FUS、ボリバル2000計画やその他各省、体制追従の州政府のようなもっとも目立ったものしか我々は知っていない。

 我が国の貧困を三倍にし、社会プログラムを溶解させ、達成させないようにしてきたこと (*2)。全面的に不正な手段で家宅捜索 (*3)がなされてきた。

 国軍に浸透し政治化し、ボリバル・サークル (*4)のような準軍事組織(パラミリタル)に取り替えるために、軍の制度を溶解させようとしてきたこと。

 言葉[による非難](*5)、物的機材に対する直接攻撃(*6)、さらにジャーナリストの暗殺にいたるまでに、ジャーナリストとメディアのオーナーを蹂躙してきたこと。

 カストロ共産主義革命を信奉しない商工業の物的インフラを没収すると脅してきたこと。(*7)

 忌まわしい政治的暗殺者を利用してきたこと。

 生産設備を破壊して、国中にみられる失業と低雇用と、政治不安による投資控えを作り出した政府。国際レベルでは、我々の伝統的な友好国をけなし、これに替えてFARC (*8)、カストロ共産主義、リビア、イラクなどと合意して強く結びついたこと。

 大統領を通じて、計画的に一貫してベネズエラ人の間に憎しみを撒き散らした政府。[ 差別があったと ] 下品で権威主義的な言葉で [ 言い立てて ] 、[ 我が国の ] 評判を落とし、[ 一部の人種を ] 優遇して、我が国のようなメスティソで平等な国に人種の違いを撒き散らしたこと。(*9)

 結局のところ、暴力を賞賛・正当化し、兄弟姉妹を殺す闘いを求める政府。

 ベネズエラ社会の市民抗議の大規模デモに対し、また、国際三者委員会、米州機構の事務局長の調停、修正を求める国家の理性ある人々の提起など国内外諸機関の仲介に対し、嘲りとごまかしと軽視で応えたこと。

我々は繰り返す:

 憲法350条の発動と、ベネズエラ人民としての我々の義務を達成するための我々の立場を告げ、ここに憲法を引用する。「共和主義の伝統を持つベネズエラの人民は、独立、平和、自由のための戦いで、民主的諸価値・諸原則・諸保証を阻んだり、人権を損なうようないかなる体制、立法、権威をも無視するであろう。」

 それゆえ、国軍は民主的であり、クーデターも政府による自主クーデターも受け付けないと我々は繰り返す。

かつ宣言する:

 我々がその一部としてある民主社会が、圧倒多数で大統領の即時辞任と憲法条文にある諸権力の再正統化を求めて現れたことに応え (*10)、国内秩序、制度の防衛、社会平和を保証することを義務付けた憲法の規定を果たすため、また、憲法、法律、さらに共和国の諸規範の恒常的侵害や、特に国軍の破壊の脅威となる専横が続くのを避けるため。

 我々は、政府の武装民兵の持続的脅威に対し、また、我が国が敵対する憲法違反のカストロ革命計画にはまりこんだ共和国大統領と国軍の一部個人の共謀に対し、我が国の大多数の国民が抱いている感情を後援する。

結論として:

 抑圧の意図と武装民兵の妨害にもかかわらず、先週の木曜日10月10日に実施された膨大な市民行進と、昨日の強力な市民ストに結実した人民の意思を、我々がはっきりと後援すると告げる。[訳しにくいので一部略]

 前に述べたように、我々は合法的不服従と現体制の無視を宣言することを告げる。

 我々の祖国の全土にわたり、国軍の全構成員に、特にカラカス大都市地帯の管轄にある軍の同志に、アルタミラ広場で我々に合流するよう呼びかけを行なう。我々は今からそこを、人民の意思にはっきりと後援を与えるための制度的国軍解放区と宣言し、市民的不服従を宣言する市民社会と人民一般を招集する。

 すべて前に述べたことだが、我々はベネズエラの市民として、国軍の一員として、ウゴ・チャベス・フリアスの権威主義・非正統体制を無視することを、憲法第350条と第333条によって義務付けられている。我々が、ベネズエラの人権と自由と民主主義と権利状態の侵害の共犯者にならないためである。また、この独裁者の権力を強化し、人間性に対する犯罪への免罪を受け入れ、我々の未来と我々の子供たちの未来を失わせたことを、罰するためである。

 我々は、ベネズエラ人民に、全力をつくしてこの措置を支援するよう呼びかける。同時に、兵士、下士官、士官候補生、下級将校、上級将校、将軍と提督に、国の憲法第350条に課された義務を果たすこと、人民の正統な意思を尊重することだけを目的としたこの行動に結集することを、勧告する。

 歴史的責任を担う軍最高司令部には、人民の意思を尊重し、国軍の構成員の間で流血をもたらすような行動をとらないように、勧告する。そうすれば、我々が挑発せず望みもしない激突を避けることができる。

 最後に、カラカスを奪取 [10月10日のデモの名前] した栄光ある人民と [カラカス以外の] 国内の市民に、自らの憲法的権利が制限されていることを見た男女に、自国の軍隊に信頼と信用をおくよう、表明する。我々は人民を失望させない。我々はこの人民の心臓であり、腕である。人民は、自分たちの保護のためだけに用いるよう、共和国の武器を我々に委ねたのである。憎しみや、嫌悪や、権力の逸脱や、ベネズエラ人民の基本的価値と合わないイデオロギーに目がくらんだ一部の者の道具になるために、我々が祖国の守護者たることを放棄することは決してない。

 最後に、軍の同志たちを、我々の制度の救済のため、この週末、我々との会合に招待する。われわれはこの人民の一部であり、今日、軍はその先頭におかれている。ベネズエラ人よ、この暴君とこの独裁を終わらせる時が来た。

エンリケ・メディナ・ゴメス少将
レネ・セリシア准将(陸軍)
リゴベルト・マルティネス・ビダル准将(陸軍)
エドガル・ボリバル少将(国家警備隊)
クリニオ・ロドリゲス准将(空軍)
カルロス・アルフォンソ・マルティネス少将(国家警備隊)
オスカル・マケス准将(国家警備隊)
エンリケ・メディナ・ゴメス少将(陸軍)
ダニエル・コミッソ少将(海軍)
ホセ・フェリクス・ルイス・グスマン少将(陸軍)
フェリペ・ロドリゲス少将(国家警備隊)
エクトル・ラミレス・ペレス中将(海軍)
エドガル・モリリョ少将(海軍)
ペドロ・ペレイラ准将(空軍)
]ネストル・ゴンサレス・ゴンサレス准将(陸軍)

(*11)

 カラカス 2002年10月22日


訳注

*1 2002年4月11日、クーデター未遂の前日に、リャグノ橋とその付近でチャベス派・反政府派と警官が入り乱れて銃撃戦となった。今にいたるもこの事件で逮捕された者はいない。

*2 民間の経済分析の多くは、チャベス政権の数年で貧困層が増え、生活が急速に悪化したとする調査を発表している。

*3 2002年10月に、警察はクーデター計画を練っている疑いで、テヘラ元外相と軍人数名の家を捜索した。民間人であるテヘラ元外相の家宅捜索令状を軍事裁判所が出したことにつき、異論がある。

*4 ボリバル・サークルは、政府支持の大衆動員組織。数十万人が属し、政府がこれに武器を流していると伝えられる。

*5 チャベスは国内民間メディアの報道を繰り返し非難し、そのオーナーを「寡頭支配層」「クーデター派」と呼んできた。

*6 昨年から、政府支持者の集団が、記者の持つ機材を壊したり、新聞社やテレビ局に乱入したりする事件がいくつか起こった。暗殺事件については不明。反政府派の死者は12月6日のフランシア広場乱射事件まで出ていないので、4月11日の銃撃戦での犠牲者のことか。

*7 該当の事実を知らない。もしあれば大問題になったはずなので、この部分は不服従軍人の嘘だろう。後、2003年1月にチャベスは、反政府ストを続行する企業を接収すると脅しをかけた。カストロ共産主義とは、反チャベス派がチャベス派を指して呼ぶ言い方。

*8 FARC(コロンビア革命軍)は、コロンビアの左翼ゲリラ。チャベス政権就任前後まで、年間百件以上の身代金目的誘拐をベネズエラ国内でおこしていた。政府は認めていないが、ベネズエラの軍人が彼らと接触を持ち、ベネズエラでの誘拐をやめさせたことは確からしい。それ以上の関係については不明。

*9 チャベス政府はインディオ先住民の集団的権利を認め、ベネズエラの社会における黒人の隠然たる排除状態を批判した。ベネズエラ人はみな混血で人種の違いがないとする考えが従来は優勢だった。

*10 現役軍人としてクーデター未遂を行ったチャベスは、自らの過去を正当化するために、抵抗権を憲法に盛り込んだ。人民が要求すれば憲法規定を無視してもよいとする発想も、もともとチャベス派のものである。

*11 日本語でみると海軍の中将がこの中での最高位だが、ベネズエラでは陸軍の准将 (general de brigada) が海軍の少将 (contraalmirante) に、陸軍の少将 (general de división) が海軍の中将 (vicealmirante) に相当すると思われる。

"http://suzutayu.s156.xrea.com/Venezuela/index.php/2002%E5%B9%B410%E6%9C%8822%E6%97%A5%E3%81%AE%E8%BB%8D%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%A3%B0%E6%98%8E" より作成

このページは 303 回アクセスされました。 最終更新 2006年12月3日 (日) 06:16。 Content is available under 帰属-派生禁止 2.5 .


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