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労働運動諸勢力

出典: Suzutayu's「べネズエラの政治」

2001/02/06執筆。要更新。


○概要

 2000年現在のベネズエラでは、ほとんどの労働組合は四つの総連盟に所属している。最大でもっとも注目を浴びるのがベネズエラ労働者総連盟(CTV)、左翼の統一ベネズエラ労働者中央(CUTV)、キリスト教系の自立組合連合(コデサ)、左翼で小さな労働総同盟(CGT)である。

 チャベス就任以前にあった既成政党の系列労働運動は、みなCTVに所属していた。組合再選挙をめぐる情勢の中で、CTV内の諸潮流は独自の動きを見せている。以下でそれらをいちいち紹介する。 ○ベネズエラ労働者総連盟(CTV)

 ベネズエラ労働者総連盟の執行部は、比例代表原理で各勢力から委員を出すことになっている。しかしずっと主流派として書記長職を握ってきたのは、民主行動(AD)であり、コペイがこれを支えてきた。両者はベネズエラの過去の二大政党であり、労働運動としては穏健である。これに対する左からの挑戦者として、人民選挙運動(MEP)、急進大義(LCR)、社会主義運動(MAS)があった。

 左翼は、民主行動とコペイがCTVを仕切っている状況を非民主的で腐敗していると非難してきた。主導権を握るための様々な策略をなし、特に政府の恩恵を受けて左翼組合を圧迫することが長くなされてきたので、批判の一部は確かにあたっている。とはいえ、組合民主主義をまったく無視しているという非難については大幅に割り引いておく必要がある。二大政党が政権を失ってから10年近くも、政府のひいきなしに、主流派がCTVをまとめてきた事実を簡単に無視するわけにはいくまい。

 組合幹部が話し合って各勢力にポストを配分するという慣行も、批判の対象になっている。外からみればそれのどこが悪いのかがわからないが、批判者にとっては、組合員の参加がないから悪いのである。察するところ、正義の人には悪の人をただちに排除することが期待されているのであろう。

▽CTV全国調整委員会

 組合国民投票に対して、CTVは、組合に介入しようとする内容がそもそも違憲であり、投票率が低かったから法的には否決されたという見解を持っている。しかし政府との衝突を避けるために、現執行部が総退陣して自発的に再選挙することにした。それまでの間、総連盟を運営するために選出したのが、調整委員会である。やはり各勢力から委員を出して構成している。

 調整委員会の指導権はやはり旧主流派が握っている。分裂騒動がつづき機能不全にある民主行動、政党としての力が激減したコペイは、今のところCTVへの援助どころではない。そのせいで、主流派はCTV幹部として政党と関係なく動いているようだ。

 調整委員会の構想では、CTV傘下の各組合選挙を全国選挙委員会の協力で一斉に実施し、その後で上部団体の連盟(地域連盟と産業別全国連盟)の役員を選出し、最後に総連盟の役員を選出して、組合再選挙は終了する。上からおしつける全国労働者会議には反対であり、とりわけ議会中心の特別委員会が組合を接収するような移行規定には強く反対している。


△労働者制憲戦線(FTC)


 左翼のうち、社会主義運動と人民民主運動の労働運動は、労働者制憲戦線を結成して、CTVに反対だが国家介入にも反対するという立場を打ち出した。CTV傘下から外れていないので、調整委員会にも入っている。1月末に議会が移行規定を制定しようとすると、態度は反政府に傾き、指導者のバリオスが調整委員会のスポークスマンとしてゼネスト準備を宣言するに至った。

 どちらもチャベス政府支持の政党であったのに、態度がそれに拘束されていないことは注目しておくべきだろう。おおかたの思い込みと異なり、ベネズエラの労働運動は既に政党離れを終えてしまっているのだと私は考える。

△新組合主義


 左翼のうち、急進大義が作っている労働潮流である。1998年大統領選挙での弱小候補で同党の指導者のラモスが率いている。CTVと与党の間をとりもって労働戦線統一をめざしていた。組合対話会議を主導し、CTVの行う組合選挙と、FBTの主張する全国労働者会議の両方を開催しようという妥協案をもって周旋にあたった。FBT内部にある程度の同調者を得たものの、説得には失敗した。

○統一ベネズエラ労働者中央(CUTV)

 CUTVは、今は政党としての力を持たないベネズエラ共産党(PCV)とADから分かれた左派が1960年代のはじめに作った労働センターである。もともとはCTVの選挙争いがこじれて執行部が分立したことが発端だった。その後、共産党が武装闘争に突入すると、組織労働内でのCUTVの立場は悪化し、もとからの共産党基盤を除いておおかたを失った。

 CUTVは、与党の構想に従っている。労働センターを統一するために解散することにも賛成した。 ○自立組合委員会(Codesa, コデサ)

 コデサはキリスト教労働運動の上部団体である。キリスト教政党としてはコペイがあり、コペイ労働戦線(FTC)としてCTVに参加していた。コデサは、組合が政党に関与することに反対して分離したグループである。穏健派。

 CUTVとともに新聞での注目度が低いので細かいことはいえないが、政府の構想には反対している。もともとの立場から言って自然な反応である。 ○労働総同盟(CGT)

 文献でも新聞でもほとんど無視されている弱小労働センター。対応は不明。 △労働者ボリバル勢力(FBT)

 与党の第五共和国運動と皆のための祖国が結成した新興労働勢力。既にいくつかの労働組合の指導部を手にいれたようだが、成長中なので実勢力は当人たちにもつかみきれていない。国民議会議員のマドゥロらを指導者にして、政党としての第五共和国運動とは一体の関係にある。政党支配を激しく攻撃した彼らが、ひとたび政権を握るや党の指令で労働運動を創出しようとするのは、皮肉なことではある。

 FBTは、全国労働者会議の招集を求めている。労働者会議は、産業別・地域別の小選挙区制で選ばれる代議員で作られ、労働運動での憲法制定会議的な存在として労働関連の全権を握り、将来の総連盟・連盟・組合の組織構造などを決定する。組合から総連盟までの選挙は、労働者会議が方法や組織の管轄を決定してから実施されることになる。この方式ならば組合が並行している分野を一気に統一することができるというのがFBTの考えだ。

 影の思惑として、既存組合の枠をはずして全国選挙を実施すれば、所属政党本位の選挙戦になり、現職役員が有利になることはないということがある。反対の論陣を張る側も表立って指摘していないが、CTVとFBTが妥協できない最大の原因だと私は考えている。

 12月に国民議会が全国労働者会議招集をもりこんだ移行規定つき組合自由保障保護法の制定を先延ばしにし、1月に全国選挙委員会が議会と関係なく組合選挙の準備をすすめたために、組合選挙なしの全国労働者会議招集というもともとのFBTの構想は難しくなった。FBTは、とりあえずCTV傘下の組合選挙に参加することにして、さらに全国労働者会議の招集を求めることにした。

"http://suzutayu.s156.xrea.com/Venezuela/index.php/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E9%81%8B%E5%8B%95%E8%AB%B8%E5%8B%A2%E5%8A%9B" より作成

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