カラカス大都市地区
出典: Suzutayu's「べネズエラの政治」
ベネズエラの地方制度は、州 (estado)、市町村 (municipio)、民区 (parroquia civil) の三層でできている。このうち自治体は州と市町村の二層で、民区は日本の政令指定都市の区と同じく市の下部組織である。国土の中には、州の中に入らず、かわりに「連邦属地」「首都地区」に所属する地域がある。連邦属地は辺境に、首都地区は中央にある。
首都地区(Distrito Capital)は昔連邦地区 (Distrito Federal) といい、州と同様に知事を持っていた。2000年に連邦地区は廃止になり、役所の機能は新たに設けられたカラカス大都市地区 (Distrito Metropolitano de Caracas) が引き継いた。カラカス大都市地区は、首都地区の全域に加えて、管轄地として隣のミランダ州の一部を持った。そうなると、首都地区には統治機構がなくなった。
首都地区に属する市町村は一つしかない。リベルタドル市である。市長と知事がまったく同じ地域に重複する無駄を省くために、カラカス大都市地区が生まれたのだろう。しかしそのせいでミランダ州と大都市地区の管轄が重なる場所が生まれて、別のややこしいことになった。
首都地区の市長は正式には「大都市長(Alcalde Metropolitano)」、ふつうには「大市長 (Alcalde Mayor)」と呼ぶ。議会は大都市参事会 (Cabildo Metropolitano) といい、参事で構成する。ともに任期は4年である。他に、参事会が選任する役職として、大都市監察官が会計監査にたずさわる。それと、やはり参事会が選ぶ大都市訴訟代理人がいる。この官職は対外的な(職員に対しては「対内的」な)訴訟でこの自治体を代表するもので、日本にはない制度だ。
初代大市長はアルフレド・ペニャだった。彼ははじめ第五共和国運動の有力政治家で、その与党から当選しながら、途中で激しい反チャベス派に転じた。2004年の選挙で改めて与党のフアン・バレトが大市長に当選・就任した。
訳語の配当は何かと難しい。ここで「大都市」とした Metropolitano を「首都」と訳しても間違いではない。Capital を「首都」と訳して区別するためにここでは大都市とした。両方を首都とする訳も悪くないと思う。訳し分けにこだわらないなら、参事会も議会とした方がいいかもしれない。
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